じいふ

SHIMANOカラーのような青空だ。前日の雨の影響はなかったかのように、ツール・ド・しものせきの幕は明けた。スタッフの皆様は当日まで大変な思いだっただろう。本当に感謝しかない。
130kmのロングコース。各エイドには水やドリンク、地元のお菓子を中心に補給食を用意してくれている。定番のバナナももちろんだ。
しかし、私が最も驚いたのは応援の熱量。道中、地元の方々はもちろん、惜しくも参加できなかったサイクリストまで応援に駆けつけてくれていた。関東の人に説明するならば、ハルヒル下山のときの光景に近い。それが130km続くと想像してもらえればいいだろう。
下関のシンボルとも言える海、角島を望んだあとは、河に沿って山間を抜けながらゴールへと向かう。梅雨を吹き飛ばす勢いで僕たちの夏休みは始まった。

毘沙ノ鼻 山口県

小粒だけれどパンチのある坂。本州最西端の地はここにある。最◯端好きのエッジマニアにとっては抑えておきたいポイントだろう。
さて、展望台の広場にはポツンと一本、不思議な鉄の棒が立っている。実は写真撮影用のスマホスタンド。試しに使ってみたが、なるほど独りで行っても安心して記念写真が撮れる。ホスピタリティの高さが伺えるスポットだ。

わざわざ仕事を休んで遊びに行ったが当日はあいにくの雨と爆風、そして極寒のバッド・コンディション。ライドをあきらめかけた夕方の一瞬、青空が顔を出し、手近な地蔵峠をアタックした。麓には道の駅あそ望の郷くぎの。敷地内にはmont-bell南阿蘇店があり、ここでジオラインを手に入れていなければ、この日は寒くて遭難していたかもしれない。山頂よりは途中の展望台の方が景色はおすすめ。これぞ阿蘇という光景を堪能できたが、次に来るときは誰か隣に並んで座ってくれる人と一緒に来たい。

風師山 福岡県

日本遺産に認定された関門海峡は、かつて花崗岩が侵食されてできた浅い谷らしい。そのためか山口・下関、北九州・門司の両市とも街のいたるところに坂がある。すなわち山もあるという訳で。今日は関門トンネルを歩いて、門司港すぐそばの風師山に行ってきた。展望台系ヒルクライムらしい斜度10%の坂は、ビンディングシューズを忘れた私にとってはややつらかった。

嵩山 山口県

「その先には何があるのか」
道の果てを目指して山頂へ歩を進める登山者、車、そして自転車。しかし果てに立ってもなおその先へ挑もうとする、つまり空を飛びたくなるのがどうも人ってやつらしい。重力に逆らい、道から解放され、自由を掴む。それはとても魅力的で誘惑的なアクティビティだろう。
けれども、僕はもう少しだけ地べたを這いずり回って自転車を楽しみたい。

大星山 山口県

「私の知らない山口県がたくさんある。」この光景を見ながらそう思った。山口は遊べる。

銭壺山 山口県

近くの浜辺からスタートし、住宅団地を抜けて頂上を目指す。途中まで道路の拡幅工事をしており、路面が真新しい箇所も少なくない。しかし、海辺の山にありがちな急坂はここも例外ではなく、後半は15%の坂が続く。ひと目でわかるS字の激坂を超えれば、そこには絶景の待つ展望台。瀬戸内海と周防大島、そして初夏の空。眼前には青しかなかった。

大将軍山 山口県

「和田峠を越えたら子の権現があった」
関西のサイクリストには通じないかもしれないが、関東の人が聞けば、きっと恐れおののく事だろう。大将軍山はそんな山だ。平坦や下りを織り交ぜながらも道中の大半は10%を下らない。極め付けは最後に現れる落ち葉・小石にまみれた20%の激坂だ。山頂にはアンテナ塔と小さなお社だけ。しかし強烈な個性のルートに展望というものは蛇足だろう(という負け惜しみ)。

白滝山 広島県

「標高130mで距離1km、あっ…(何かに気づく)」
因島フラワーセンターから脇道にそれるとすぐに斜度が10%を超える。最大斜度は18%、写真を撮ろうもバランスが取れない。舗装は山頂手前の駐車場で終わってしまうが、ラック・空気入れが設置されている。メインルートを外れてもしまなみのホスピタリティはさすがだ。ここらは徒歩で山頂を目指した。足元は滑りやすい石段でSPD-SLではちょっと怖い。上には石仏の並ぶ観音堂と因島大橋の掛かる風景があった。

山口から広島へ。国道434号を東走し、松ノ木峠に入る。最初こそ道幅が広く走りやすい道路だが、途中から対向車線はなくなり、渓谷の脇を進む一本道へと姿を変える。狭いところでは車がすれ違うこともできない。
道中、小さな神社を見つけた。薄暗い林、苔むした敷地の中で、一本の桜の樹が鮮やかに咲いていた。宇佐の大滝・小滝、寂地峡といった景勝地もあり、キャンプや登山のレジャーとしても楽しめそうだ。

傍示ヶ峠 山口県

山口から島根へ。傍示ヶ峠は県境を越える峠だ。この日は道の駅「ピュアラインにしき」からスタート。そこでは満開の枝垂れ桜が私を出迎えた。あまりに完成された桜の様子に感激し、このまま写真を撮っていたい気持ちもあったが、この日は峠を3つ越える予定。後ろ髪を引かれながら、傍示ヶ峠に向かった。
序盤は苔むしたコンクリートの壁を脇にして、短く暗い隧道をいくつもくぐる。「ほー いいじゃないか。こういうのでいいんだよ こういうので。」孤独のグルメ、もとい孤独の峠道をしばし満喫する。半分ほど進むと、急に視界が開け、山間の集落地に出た。道は広くなり、斜度も緩やかになる。山頂が近づくと、遠くに山賊と書かれた幟旗が目に入った。あれは「いろり山賊」。極々一部のエリアで超(?)有名な食事処。私も実際に目にするのは初めてだ。あいにく、私が通った時は準備中。とりあえず異様な門構えだけ写真に収めて、いそいそと島根側へ峠を下った。

「桜の名所には人が多い…ならば山だ。」
山口県庁の裏から国宝瑠璃光寺五重塔の脇を通り、21世紀の森へ向けた峠道を登る。桜の名所ではないけれど、数百mおきに桜の枝が頭の上を通過する。今日の気温は23度。まだ日陰の空気は冷たいが、いよいよロードバイクの季節が帰ってきた。登頂後はせっかくなので街に出て、一の坂川の桜並木を眺めた。ここは県内有数の桜の名所だが、ゲンジボタルの名所でもある。蛍の季節、6月にまた来よう。